石垣島つれづれ記(6)

5日目:2000/1/3:朝ヤドカリ採取

とうとう、今日で楽しかった石垣島ともお別れです。子供達も、妻も、私も、「帰りたくないな〜。」の合唱。

そうは言っておれないのはパパ。最後にやりのこしたことがあります。そうです、ヤドカリ採取。これだけは忘れては成りません。
出発当日なので、裏にあるプライベートビーチでしか採取できませんが、既にヤドカリがかたまって居るところをおさえています。それも、黄色と青のお顔のサンゴヤドカリです。乗り継ぎですから、時間がかかるので当日採取がベスト。

さて、ペットボトル片手に海へ飛び出しました。このペットボトルは、2000年 問題があったときの為に東京から持ってきた天然水のペットボトルの一つです。(2本持ってきましたが、年内にも石垣島のコンビニ、HotSpar にいっぱいありました。)

海へ降りてみると、唖然としました。来たときに見た朝の海とは何か違うのです。そうです。潮がほとんどひいていない。来たときは大潮ではなかったようですが、朝方はかなり潮がひいており、岩場がかなり見えていました。例のサンゴヤドカリがごっちゃりとかたまっていたところもひいたところの岩場だったのです。
その日の朝は、潮は殆どひいておらず、ヤドカリのたくさんいた岩場も波の底です。。。ま、まずい。。。サンゴヤドカリどころか、ヤドカリそのものの採取が危ぶまれてきました。

ただ、そうして手をこまねいているわけには行きません。ズボンをたくしあげ(海パンはパッキング済み)そでをたくしあげ、必死の思いで記憶をたどって岩場をさがしました。荷物が重くなるので、今更ぬれるわけにもいかず、波をよけながら岩場をさがしました。波があって、岩の表面がなかなか見えません。ヤドカリもどこにいるのか、あまりみつからず、10匹くらいしか捕まえられません。それも、ジミなヤドカリです。

だんだん焦ってきましたが、まだ時間はあります。少しずつ、沖にがんばって出てみると、波間に貝があつまって着いている岩が見えます。「こいつか!」手でガッとつかみ、引き上げてみると「なんだ。本当の貝だ。」まあ、苔取りにはなるかもしれませんが、あまりうれしくない。数匹ペットボトルに入れて、再度さがします。

海辺をうろうろして、30分以上たった頃です。また波間に小さい貝の固まりを見つけました。先ほどのことがあったので、半信半疑で1cm前後の貝のかたまりをつかみました。つかんだ手を見てみると。貝ではありません!徐々に出てくる目玉のまわりは、黄色と青のシマシマ模様!「やった!」と叫んだかどうかは。。。。

とにかく、手にしたサンゴヤドカリは、そのひとつかみで20〜30匹はあります。非常に小さく、5mm くらいのものが殆ど。しかし、あまりおおきくても困ります。おおいそぎでペットボトルへ。よ〜く廻りを見ると、同じようなかたまりがあちこちにあります。良かった。ここだ、ここだ。夢中でペットボトルへ採取しました。

結局、採取したヤドカリは約100匹以上。ペットボトルに、深さ5cmほどいれてしまいました。重なり合っているので、共食いの危険がありますが、死サンゴのかけらをいれて、なんとか緩衝できないかと思いました。

とにかく、採取が終わるとおおいそぎで部屋へ。昨日までに採取したナマコや、マングローブをパッキングしなくてはなりません。

パッキング:

パッキングは意外と手間取りました。指が痛くて自由が利かない、というのもあるのですが、そもそも、酸素は、「O2 ストーン」を使っているため、あまり期待できないと思われるし、アマモは海水をなるべく少なくし、マングローブは、新聞紙に海水を浸し、根の廻りを丁寧に包みました。なまこはきずつけないよう、一匹ずつ2重にしたビニール袋に入れなければなりません。

色々な生体を持ち帰ろうとしているので、やることがいろんなパターンになり手間取ってしまうのです。

多くのビニール袋は、漏れたら大変ですが、鞄の中に入れるわけにも行かず、よくある「沖縄袋」に入れることにしました。昨日おみやげ屋で購入したのです。これなら怪しまれ?ないですし。(しかし、マングローブの葉は飛び出ていましたが。。)「沖縄袋」は、防水仕様ではないので、ゴミ袋を2重にして中に敷き、その中にマングローブやら、なまこやら、ヤドカリやら、アマモやらを入れました。

海水も入っているので、やたら重い。

しかし、どうにかこうにか、パッキングを終了し、なんとか「マリンメイト」を出発することができました。後はちゃんと飛行機に乗るだけです。

「マリンメイト」の奥さんは大変優しく、食事も大変おいしかったです。民宿ですので、豪華さはないですが、旦那さんと息子さんはダイビングのガイドもしてくれるようですし、ダイビングボートもりっぱなものがあります。ダイビングされる方は、一度チェックしてみては如何でしょうか?

飛行機:

JTA で石垣島を立つ前に、どうしてもゴーヤチャンプルが食べたかったので、車を返す前に昨日行ったお土産屋の集まっているところにいきました。郷土料理の店もいくつかならんでいます。

ところが、「あ、ゴーヤ、終わっちゃったんです。」「ゲ!」
とうとう、ゴーヤチャンプル食べずじまいか!しかたなしに、「チャンプル定食」を食べました。なんのことはない、野菜炒めです。(;_;)

JTA の機内ですが、特に怪しまれることは有りませんでした。ただ、足下に置いていたので、「横にしてはいけませんか?」とスチュワーデスに聞かれ、「はい、植物なので、できればたてておきたいのです。」と内心ヒヤヒヤで答えると、「では、なるべく前の座席の下へお願いします。」「わかりました。先っちょが出ているだけで、中身は下に入ってますよ、ほら。」とかなんとか言って納得してもらいました。海水が入っているなんて、言えませんから。まして、ヤドカリやらなまこやら。。。スチュワーデスさん、卒倒するかも。

JTA から降りると、そこはまた那覇空港。行くべきところはただ一つ、「天龍」ですね。そう、頭の中は、ゴーヤチャンプルしかありません。

「ゴーヤチャンプルください。あ、定食じゃなくていいです。」「すみません」「え?ないの?」「いえ、単品でも、値段50円しか違わないんです。」「なんだ、そんなことならかまわないよ。ゴーヤチャンプルと生ビール!」「わかりました。」もう、うれしいんで、ニコニコです。50円だろうがなんだろうが、今チャンプル定食べたばかりでまた定食が食べられるわけないです。

さて、JAL に乗って、羽田へ向かいました。これがまた混んでいて大変。おまけに、2人の子連れかつ、一人はだっこ。プラス、「マングローブ ヤドカリ ナマコ」セット。またもやスチュワーデスさんに、「これ、上に上げられませんか?」これまた同様に「植物なもので。。。」なんとかOK。

ところが、離陸とともに、機内の温度がどんどん上昇していきます。これから北へ向かうため、気を利かせて気温をあらかじめ上げているようです。出発時の石垣島は気温が22度以上ありましたが、機内はそれよりさらに暑い。人いきれもあり、体感温度は30度。これでは生体が参ってしまう。私は生きた心地もしませんでした。とうとうたまりかねて、「スチュワーデスさん、暑すぎますよ!」とくってかかるしまつ。でも、確かに暑かったんですよ。後でスチュワーデスさんが「少し調整しました。確かに暑すぎたようです。大丈夫ですか?」と言ったぐらいですから。ただ、その時は既に1時間くらいたったあとだったのですけど。もう、生体については、神に祈るしかありません。

帰宅その後:

自宅についたのは、夜の10時半頃。子供達も、皆疲れて寝てしまいました。パパは、疲れもソコソコ、生体かかえて、水槽へ直行です。

まず、ヤドカリ。これは、元気でした。サンプに入れると、皆ゴソゴゾ動き出しました。20匹ぐらい、本水槽へ移しました。

ヒルギはそのままマングローブ水槽へ。既に、水槽とはいえず、マングローブ栽培容器と化しています。真水につけていたためか、しおれています。たぶん、殆ど海水の場所だったのでしょう。このままだめになるか、わかりません。

ボウバアマモはどうなるかわかりませんが、腐ってはいませんし、たぶん大丈夫でしょう。

問題はナマコ。しかし、オオイカリナマコも、黒いナマコ(シカクナマコ、別名クロミシキリ)も水槽に入れると動き出しました。なんとか、生きていたようです。考えてみるとナマコは非常に強いのかもしれません。魚屋でパッケージにされていた活きナマコも、捕まえられてから2日以上はたっているはずです。でも、今でも水槽内で生きています。

結局採取した生体は、うまく輸送され、水槽にとりあえず収まりました。なんとかめでたしめでたしで、今回の石垣島旅行は終了です。

あとがき:

たいした文章でもないのであとがきなどおこがましいですが、ここまで読んでいただいた方々、本当に辛抱強いと感謝いたします。ありがとうございました。もし、感想などございましたら、このHPの掲示板にでもちょこっと書き残してやってください。筆者は大変喜ぶと思います。もちろん、叱咤激励なんでもけっこうです。

あとがきのあとがき

一見成功に終わったかに見えた生体輸送作戦ですが、思わぬところで落とし穴がありました。実は、サンプにオオイカリナマコを入れたのですが、大失敗でした。翌日再度水槽を見たとき、水槽は崩壊していました。オオイカリナマコの体半分がスキマーへのパワーヘッドにまきこまれ、これがまた長いために、パワーヘッドを止めてしまったのです。

ナマコの体液は毒性があるらしく、魚は全滅。死んだ魚が水槽のパワーヘッドにへばりつき、これの体液がミドリイシに直接ふきかかったせいか、その部分のミドリイシは白化。

半分になったナマコはまだ元気に生きていますが、水槽はやばいことになっています。最後の最後に失敗してしまいました。

これで本当に、この石垣島つれづれ記は終わります。

ご精読誠にありがとうございました。m(_ _)m

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